新人グループが続々と誕生する背景
K-POP業界では近年、ライバル関係になることから、これまでは避けられていた事務所内、レーベル内で同時期に新人グループがデビューする事例が加速しています。
その理由として、K-POPのグローバル化が進み、その核心ともいえる「IP(知的財産権)」の拡張に主要事務所が力を注いでいることにあります。
事務所側にとって、最も確実な「IP拡張手段」といえるのが新人発掘であり、今年予告されているだけでも
SM NCT 東京、など4組
YG BABYMONSTER
HYBE ZICOプロデュースボーイズグループ
注目すべきは、SMの4組で、SMは今年、NCT東京、ボーイズグループ、ガールズグループ、バーチャルアイドル、をデビューさせると予告しています。
SMは現共同代表が自ら主導する新グループであり、ガールズグループはイ・ソンス代表、ボーイズグループはタク・ヨンジュン代表がプロジェクトリーダーとなって進めています。
ガールズグループについては最近、ファンの意見を取り入れる意味で、女性練習生をファンにモニタリングしてもらったことも伝えられています。
IP確保には新人デビューが最重要
YGは現在、BLACKPINKの後輩となる「BABYMONSTER」の最終メンバー選考過程を公開中です。YGにとって、BLACKPINKの契約満了が近づく中、次世代グループの誕生は最重要事項となっています。
また、HYBEはZICOプロデュースのボーイズグループを準備中です。
このように近年、続々と新人アイドルグループが誕生している背景には
突破口は新人によるIPの拡張
大手事務所が次々に新人アイドルをデビューさせるのは、「絶えずIPを拡張しなければならない」という危機感のため
この1ヶ月、世間を騒がせた「SM買収紛争」もやはり、SMエンターテインメントが持つ、H.O.T.~末っ子のaespaに至るまで、これまでの膨大な「SMのIP」を確保するため、HYBEとカカオが争ったことが理由とされています。
HYBE パン・シヒョク議長は先日のフォーラムで
米国など、主要市場でK-POPの成長率が最近、鈍化している。
韓流人気が持続しやすい東南アジアですら、K-POPは最近、逆成長傾向を見せている。東南アジアの主要国を対象にしたアルバム輸出成長率は昨年、前年比-30%だった。
持続して世界を揺るがすような「スーパースター」を作り出すことができる力量を備えることが重要
歌謡界関係者
大手、中小、どこであれ、所属アーティストは永遠ではない。ファンの消費周期も早くなり、新人準備が必ず必要となる。会社の成長のためには「IP拡張」が必須だが、既存アーティストだけでは限界がある。
また、新人が成功した場合、その後の多様な「2次収益」にも期待できる。
デジタルモバイル環境に伴い、複数メディア時代が到来したことで、オリジナルコンテンツ確保競争が繰り広げられている。
Netflix、Disney+のようなグローバルOTTも、コンテンツに果敢な投資をするだけに、K-POP界も世界的な流れにそって参戦せざるを得ない状況ただ、新人デビューが成功しIPを確保できさえすれば、むしろK-POPを超えて、映画、ドラマ、ウェブトゥーン、ウェブ小説、キャラクター事業など、非常に多くの分野で応用できる「派生コンテンツ」収益が多角化できる
メタバース、仮想アイドルに力を入れる大手
カカオエンターテインメントは今年1月、仮想アイドルグループである「MAVE:」をデビューさせ、音楽番組にも出演させている。
MAVE:のメンバーたちは「AI(人工知能)」技術を駆使し、韓国語はもちろん、英語、フランス語、インドネシア語など、多様な言語も学習している。
SMも今年、aespaの世界観の中のキャラクター「nævis(ナイビス)」を、バーチャルアーティストとしてデビューさせる計画を進めている。
(バーチャルアイドルアイドルのメリット)活動に時空的制約がない、という点で、K-POPファンに拡張されたコンテンツの楽しみを提供できる。ウェブトゥーン、ウェブ小説、映画のようなコンテンツIPだけでなく、ゲーム、メタバースなどの仮想空間にも活動範囲を自然に拡張できる