「コロナ禍」で変わるK-POPアイドル業界
新型コロナウイルス感染拡大が長期化している中、K-POP業界の構図にも大きな変化が起こっている。
K-POPファンダムが世界的に成長し、公演の代わりにコンテンツを中心とした「ファンダムビジネス」が広がりを見せ、より「オンラインプラットフォーム」の重要性が大きくなった。
このため、K-POP大手事務所はこぞって、オンラインプラットフォームを中心する事業を拡大する目的で、ライバル大手との協業や、IT企業との連携など、状況に応じた競争が激化している。昨年からK-POP業界には、大手芸能事務所同士、そして、芸能事務所とIT企業とのコラボレーションが相次ぎ、地殻変動が起こっている。
しかし、こうした新たな業界内の変化が、より「格差」を加速しつつもある。
関係者からは
K-POP産業がコンテンツの多角化を進めることで、「アイドルを素材にした」過度な商品化を懸念される。
との声も出ている。
この「アイドルを素材とした」という点は、アイドル本人が動く必要がない、というメリットはあるものの、だからこそ撮影も必要ないため、アイドルグッズを「キャラクター化(CGやアニメ)」すれば、アイドル本人には、お金が入らない、および、ほぼ入らない(収益率が低い)システムで、逆に事務所にとっては制作会社とのデザインのやり取りで済む関係上、かなり魅力的な商法だと言われている。
不良品、返品対応も悪いと消費者センターに苦情ソウル市が「Weversショップ」について消費者に注意喚起BigHitエンターテイメントの子会社「Weversショップ」について、商品(アイドルグッズ)を購入した消費者から、「ソウル市電子商取引センター」に苦情が相次ぎ届いていることが明らかになりました。<消費者の声>昨年4月、モバイルアプリ「Weversショップ」を通じて、好きなアイドルのポスターを注文したが、8カ月以上経っても届いていない、気をもんでいる。やっと配送されたポスターのほぼ半分がボロボロで、交換や払い戻しを要... BigHit「Weverse」販売グッズ不良品 苦情 相次ぎ取引法違反の調査へ(商品届かず、... - |
大手同士の協業、IT業界への参入で地殻変動
BigHit × YG × NAVERで新生「Weverse」
BTSの成功で、今や国内最大手にまで成長したBigHitエンターテイメントは、NAVER社の持つ「VLIVE」を譲受し、自社のアイドルファンプラットフォーム「Weverse」と統合し強化、新しいプラットフォームを作ることになった。さらに、ライバル事務所である、YGエンターテイメントとも協力関係を結び、BLACKPINKらが、この新生「Weverse」に登場する予定。
SM × JYP × NAVER「Beyond LIVE」
SMとJYPはオンライン公演システムでの協力関係を築いた。世界初のオンライン専用コンサート「Beyond LIVE」の専門会社として、共同で「Beyond LIVE corporation」を設立。
「Beyond LIVE corporation」には、NAVERも出資しており、SMのコンテンツ・プロデュース能力と、NAVERの技術力、JYPのグローバルネットワーク・クリエイティブ能力が融合し、今後「Beyond LIVE」は世界のオンラインコンサートの一大ブランドとして、成長させていく目的。
NCソフト「UNIVERSE」 × CJENMが合弁会社
「Weverse」と同じく、アイドルとファンとのプラットフォームとして、多くの人気アイドルが参加している、NCソフト社の「UNIVERSE」も、韓国エンタメトップ企業、CJENMと、年内にも合弁法人を設立することを発表している。
BigHitが大手2社との協業を発表BigHit、YGに続きNAVERとも協業BigHitエンターテイメントが、YGエンターテイメントの子会社「YGPLUS」への投資に続き、NAVER(韓国最大手のネット検索企業)との協業を発表しました。NAVERは「ファン・コミュニティプラットフォーム」を強化する目的で、BigHitの子会社で「Weverse」を運営するbeNXに第3者有償増資の形で、約3548億ウォンを投資、これによりbeNXはNAVERが持つ「VLIVE」事業部を譲り受けることが決議されました。社名も新たに「WEVERSE COMPANY Inc」へと変更されることになります。「Wev... BigHitエンターテイメント、YGに続きNAVERとの協業も発表「WEVERSE」と「VLIVE」を... - |
K-POPアイドル「すべて」が有料化できる時代に
このようにK-POP業界の「勢力図」が大きく変化している背景には、「ファンダムビジネス」の拡張性がそれだけ高いことを表わしている。
「コロナ禍」の長期化により、オフライン公演は中止となったものの、その代わり、アイドルIP(知的財産)を活用した、さまざまな派生コンテンツが誕生している。音源やオンライン公演を超え、アイドルはキャラクターやアバター、ゲーム、配信ドキュメンタリーなど、第2・3次コンテンツが活発に制作されている。
昨年末、FNCエンターテイメントのユ部長は
新型コロナウイルスは未来のK-POPが進むべきコンテンツと、技術の進歩を早めた、逆説的な影響をもたらした。
と指摘した。
K-POPは現在、世界中のZ世代(1990年代後半~2000年生まれ)に注目される文化として知られ、消費層が拡大する余地を持っていると、期待する声も多い。
このため、K-POPコンテンツをグローバルファンダムに流通できるシステムを担う市場は、各社、激戦となっている。特に以前までは、オンラインと言えばデジタル配信という単純な構図だったが、コンテンツも増え、大手事務所が自社でコンテンツを直接「流通」する動きが活発化し、自然とIT業界へと参入することになり、芸能事務所がIT企業とライバル関係になるケースも出ている。
ただ、このような資金力のある大手事務所や、IT大手企業が中心となり、業界再編、地殻変動を起こすことに拍車がかかればかかるほど、資本力の弱い中小事務所の居場所はより狭まるだろう、と懸念されている。
<K-POP収益にも変化、コミュニケーションの有料化>
また他にも、アイドルIPの拡張性が重要になると、K-POP業界の収益構造にも変化が起こっている。まさにアーティストの「すべて」が有料コンテンツとして利用できるため、それをファンに販売する形式へと変化している。
ただ、有料化が進むことで、これまで気軽に、または不定期にSNSなどに日常やファンへのメッセージを公開していたアイドルらの「仕事」がより増え、大変になるとも言われている。
無料で見られるSNSアカウントとは違い、専用のプラットフォームを通じて、コンテンツが有料化された場合、ファンは「有料会員」として、アイドルからのメッセージを待つことになるため、更新が減れば苦情が出ることもあり、これまでも多忙で大変だったK-POPアイドルだが、公式スケジュール以外での日常の仕事量が、さらに増えるとも指摘されている。
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