「コロナ禍デビュー組」オンラインばかりでファンダム形成の難しさ
新型コロナウイルスが世界に拡散し、1年以上が経過しました。その間もK-POPでは新人グループが誕生し続けているものの、いわゆる「オフライン(対面)」形式で公演ができず、まだファンと会ったことがないグループばかりです。
2020年だけでも、主要なデビューグループを挙げるだけで、TREASURE、CRAVITY、Weeekly、aespa、 DRIPPIN、ENHYPEN、などなど、昨年デビューした新人グループはオンライン上での開催の話題はあったものの、ファンに会うことができず
コロナ時代のアイドル
と呼ばれている。
あるENHYPENファン
最近、ENHYPENはオフラインファンミーティングがキャンセルされ、悲しいです。オンラインでは見ているものの、まだ実際に(彼らを)一度も見たことがないんです。
このように「音楽業界」の中でも、特に大衆音楽には公演への厳しい規制をしていることから、K-POPグループの不公演は長期化している。ファン拡大のため、特にコミュニケーションが重要とされる、新人時期のグループにとっては残念な日が続いている。
K-POP界では、「ファンダム」と呼ばれるファンの団結力が形成され、特にオフラインでは連帯感が現れる。デビューすれば、オフラインの会場(テレビ局、サイン会、ファンミーティング、公演)でファンとの絆を深めながら、強固なファンとアーティストとの関係を築いていくのが、これまでの「K-POPアイドル」の一般的な成長法則だった。
これはファンに
自分たちが育てたアイドル!
という考えを持たせ、積極的な支持を送っているからで、BigHitエンターテインメントも、同社の強力バックアップがあるにも関わらず、それでもENHYPENのオフライン公演を進行した理由でもある。
「オンライン」が盛況なのは、ごく一部の人気グループだけ
「オンライン」でも公演はできる、という意見もあるが、実際に盛況なのは、すでに「ファンダム」が強固に形成された、BTSなど、数組の人気グループに限られる。
新人グループや、他のアイドルグループは、かえって損害が大きくなるとの理由から、「オンライン」は敬遠される傾向になってきた。
ある芸能事務所(中堅)
所属グループのオンライン公演を企画していたが、効率性が落ち、キャンセルした。(撮影のため)会場も借りなければならず、送信装備なども備えなければならないため、オフラインコンサートに劣らず、実際は高い費用が投入されている。
だが、オンライン観覧券は、オフラインに比べ、チケット代をかなり安く設定しなければならず、BTSのように、数十万人が同時にアクセスしない限り、「有料オンラインコンサート」はむしろ、我々に出血をもたらす。
また、一部ではアルバム購入者に「特典」として、アーティストとの映像通話ができる企画もあるが、これができるファンは、ごく少数となってしまう。
昨今の「オンライン」中心の活動となった新人アイドルグループのメンバーの中には
オンライン疲れ
を訴える者もいるという。
音楽番組をはじめ、本来は会場で観客との一体感など、現場での「実戦経験」を積まなければならない時期だが、難しい状況であるため、不安を抱えながら活動しているメンバーもいるという。
コンサートはもとより、イベントなどが全くない状況で、各事務所は財政的な困難に直面している。ある事務所関係者
新人アイドルグループのデビューには、準備は活動費など、莫大な資金が投入されるが、うちは大きくないため、とても厳しい状況。現在、将来を見据え、もっと投入すべきか?どうかの進退両難(どうしようもできない困難で窮地な状況)に陥っている。
また、新型コロナウイルスの防疫指針では、他の音楽ジャンルに比べ、「大衆音楽(K-POP)」公演に対してだけ、厳しい規制が課せられていることが指摘されている。
にもかかわらず、2020年と、今年はまだ3か月しか経っていないが、続々と新人グループがデビューしており、さらに、今年も下半期に向けて新人グループのデビューが数多く予告されている。
ある新人グループをデビューさせたばかりの関係者
アイドルはバラエティー番組出演、SNS活用など、できることがある。しかし、いつ終わるか分からないこの状況が続けば、アイデアの枯渇だけでなく、メンバー、スタッフも疲弊してしまいそうだ。