Netflixなど海外資本ドラマ好調の陰で、国内ドラマ産業が危機
Netflixなど、いわゆる「OTTストリーミング(ネット配信)」の世界的な拡大により、コンテンツ独自のドラマ制作が進んだことで、韓国ドラマへの関心や人気が高まっています。
しかし昨年末、ある俳優が授賞式で「次回作が決まっていない」と、記者らに明かした状況が話題になっています。
(俳優A)まだ次回作がない。 普通、賞をもらってうまくいけば、(出演オファーの)台本がたくさん入ってくると思うのだが、次回作が決まっていない。韓国のコンテンツ市場が厳しいようだ。
ドラマ編成の縮小→有名俳優にオファー→ギャラ高騰の悪循環
Aは授賞式に呼ばれるほど、韓国国内での主演経験や人気は上がっているものの、「トップスター」とまではまだなっておらず、海外でも名前が知られている有名俳優に出演依頼が集中している、現在の状況が指摘されています。
韓国ドラマが世界的に人気を集めているが、皮肉なことに「(国内)ドラマ産業」は危機に直面している。ここ数年、製作費は垂直に上昇しているが、広告収入は急減、製作費回収が難しくなっている。そのためドラマの編成は縮小され、制作本数も減っている状況。
業界によると、2022年に製作された韓国ドラマは160本余り、この3年で最大値を記録した。しかし翌年、勢いはすぐに衰え、2023年には80本に減り、今年は約30本とさらに減る予想。
ドラマ市場の危機として「韓国ドラマ製作会社協会」は先月、懇談会を開いています。
ドラマ市場危機の最も大きな原因は天井知らずに急騰している製作費。
その中心は主演級俳優たちの高騰する出演料がある。主演俳優の出演料が1回当たり10億ウォンという現実、とうとう本格的に対策を講じる時が来たようだ。
出演料が高騰している理由として、主演が有名俳優になった場合「投資・編成・輸出」が容易なため、制作会社は高い出演料を払ってでも「トップスターに出て欲しい!」と交渉するためだと明かされています。
加えて、Netflixなど、海外資本のOTTが進出して来たことで、俳優側の「出演料の基準」がどんどん高まっていることも挙げられています。
Netflixなど、海外の出演料を基準にされると厳しい国内ドラマ市場
放送関係者
編成が減ったことで、製作会社はさらに編成が容易に担保できる有名俳優にオファーをすることになる。結果、出演者側の要求を聞くこととなり、1回当たり数億ウォンという支払いをしながら製作するしかない状況。
これがまた制作費の上昇を生み、悪循環に陥っている。
最近、ある作品の俳優キャスティングで、1回当たりの出演料が、4億ウォン、6億5000ウォン、7億ウォンとなった。 最近の出演料の基準がNetflixなど、グローバルOTTプラットフォームを中心に考えられ始め、どんどん交渉が難しくなっている。
このような出演料の高騰でキャスティングも厳しくなっていることに、根本的な解決策として
出演料に適切な限界を設置する。
との提案が出されていますが、韓国では難しいとされています。
中国ではすでに政府が介入も、韓国では難しい
似たような問題は中国でも起こりましたが、現在は中国政府が出演料を規制する対策として
俳優出演料が全体製作費の40%を超えてはならない。
主要俳優のギャラは、全体出演料の70%を超えてはならない。
と基準が設けられています。
しかし、韓国ではこのような政府介入は難しい予想です。
(文化体育観光部長官)制作費上昇問題は以前からずっとあった話。人件費の上昇もあり、一度上がった俳優のギャラを下げるのは難しいだろう。結局、海外進出で市場を拡大していくしかない。
ドラマ制作関係者は、別の解決策として「新人の起用」を積極的に進めていくことを明かしています。
ギャラ高騰の解決策として、トップ俳優を中心に組まれた今の状況は打開すべきだろう。
最近、SNSのフォロワー数などを細かくチェックし『(これから)売れる俳優』をキャスティングしようと試みている。
この危機を打破するため、すでにスターな俳優に頼らず、新人を主役に抜擢する「破格キャスティング」を行う。しかしそれは、より作品のクオリティを高めなければならないことでもある。
と、有名俳優の名前に頼らず、無名俳優や、フォロワー数の多いアイドル出身者(俳優としては新人)を、あえて主役に抜擢するなど、キャスティングを変化させていくことも明かしています。