全員日本人のK-POPガールズグループ「XG」
今年3月にデビューし、全員日本人で構成されたK-POPガールズグループ「XG」について、プロデュースを務め、所属事務所「XGALX」代表、JAKOPSのインタビュー
「XG」を立ち上げたのは、K-POPボーイズグループ「DMTN(ダルメシアン)」出身の音楽プロデューサー、JAKOPS。グループ当時は「サイモン」名義で活動していた。
父親が韓国人、母親は日本人、生まれは米国・シアトル、JAKOPSはその多文化的成長の背景を持っており、DMTN時代にも「多文化家庭に多くの関心を持って欲しい」と語っていたほど。彼にとってのアイデンティティとして、大きな意味を持つ。
彼が誕生させた「XG」のメンバーは全員が日本人だが、K-POPシステムのトレーニング法で練習し、歌詞は英語で歌う。単純に「K-POP」または「J-POP」のような1つのカテゴリーで規定することはできない。
しかし、JAKOPSとXGメンバーは皆、韓国と日本の両国文化に対する尊重と愛情を基に、音楽として自分たちを表現するという点だけは明確だった。
プロデューサー「JAKOPS」インタビュー
父が韓国人、母が日本人、生まれはアメリカです。DMTN当時の活動名はサイモンでした。
「JAKOPS」はプロデューサーになって使用した名前で、「JAPAN」「KOREA」「produce by Simon」を並べて作りました。昔から音楽的に韓国と日本が交流する上で先頭に立ちたい、という夢がありました。
幼い頃、いつもお年寄りから「お前は韓日戦をしたらどこを応援するのか?」という質問を受けましたが、私の家はサッカーの韓日戦があると、父と母はそれぞれ別室で見てましたね(笑)幼い頃から食卓にはいつも、韓国料理と日本料理が混ざっていました。両親はアメリカで結婚しましたが、母が韓国語が全く話せない状態で韓国に来て、大学教授を長くしました。私が育ってきた環境はこうなので、私が経験した多様な文化的背景のように「XG」というチームをうまく作っていきたいです。
「XGALX」は日本のavexと提携していますが、どのような縁でアイドルを作ることになったのですか?
K-POPグループでの活動経験をもとに、新しいアーティストを自ら作りたい!という夢がありました。特に「グローバルに通用できる実力派アーティストを作ろう」という目標を定めていた時、avexのマネジメント代表が私と同じビジョンを提示して下さり、共に作ることになりました。
「XG」が当初、YGエンターテインメントの新ガールズグループとの噂が広がったことについて
私たちがそのような内容を配布したり、話をしたこともありません。親しい先輩がYG関係者で、私たちが「XG」撮影のための練習室を探していたところ、先輩が快く練習室を貸して下さったのです。
「XG」とはどんなグループですか
チーム名は「Xtraordinary Girls」の頭文字を取り、「非凡で特別な少女たち」という意味です。
XGの音楽は主体性と堂々さを表し、カリスマ性とエネルギーが本当に優れたチームです。このような姿を見せるため、トレーニングも厳しくしました。メンバーはよくついてきてくれたと思います。
他のアーティストもそうだと思いますが、メンバーは本当に夢に対する熱意がすごいです。そんな点を最初に自慢したいです。特にK-POPファン、韓国ファンには、アイドルに対する実力への厳格な基準がありますが、私たちもその水準に到達しようと、熱心に努力し、練習して来ました。
メンバー発掘、育成、プロデュースの過程について
対面オーディションを通じて約1万3000人に会いました。日本だけでなく、韓国、ベトナム、タイなど国籍を問わずオーディションをし、その中で選抜して韓国に連れてきて、合宿もさせ、色々な過程を経て、15人を最終選抜しました。それが「XGALX」1期練習生です。
その後、韓国と日本を行き来しながら、K-POP式トレーニングを導入して練習させました。私も過去にアイドル経験があるので、当時では受けられなかったシステムを全て導入させました。私が「こういうのがあれば良かったな」と感じたことを、教育・指導しました。
韓国、ベトナム、タイなど多国籍の志願者の中、全員日本人メンバーを作った理由
コロナなど、様々な状況により、韓国をはじめとする色々な国の練習生たちをたくさん見られる状況ではありませんでした。また、会社の認知度もなく、韓国の練習生からの参加は多くなかったです。
選ばれた子たちはテンションがとても良く、この子たちが世に出た時、びっくりさせるチームを作りたかった。
メンバーは5年間韓国語を学ばせ、韓国文化にも接してきました。単純に活動のため、ちょっと韓国に来た、というのではなく、この5年間、韓国と日本を行ったり来たりしながら過ごしてきました。
メンバーと初めて会った時、末っ子はまだ小学生でしたが、もうみんな高校生、または20歳になりました。メンバーを幼い頃から長い間、見守ってきたので、責任感も大きいです。
こんなこと言っていいのか分からないけれど・・・この5年、恋愛もせず、仕事ばかりして来ました(笑)自然にあの子たちを見守りながら、熱心に仕事をすると、それ自体が面白くて楽しかったです。緊張して不安でもありますが、XGが韓国の舞台に立っている姿を見ると夢のようです。
韓国と日本をつなぐ、新ジャンル「X-POP」
XGの目指す、従来の言葉がなかったので、どう定義付けたらいいか悩みました。私たちの音楽は「J-POP」では新しい試みであり、「K-POP」だと自ら強く話すにはある部分で、不便な視線があるかもしれません。それで少し果敢ですが、私たちだけの音楽、ジャンルを作り出すために「X-POP」という表現を使いました。
「X」という文字には「ミックス」の概念がありますが、色々な偏見を脱し、ミックスされたという意味が込められているのです。偏見のない視線で見て欲しいです。
「マスカラ」から韓国の音楽番組にも出演を始め。全員日本人、英語歌詞のグループが、韓国の音楽番組に、という否定的な意見について
一部の反応はデビュー前から予想していました。私はK-POPはもう音楽のジャンルを超えて、1つの文化だと思っています。野球が上手ならメジャーリーグを夢見て、サッカーが上手ならヨーロッパリーグを夢見るように、大衆音楽でもK-POPはアーティストたちが夢見るトップステージだと思っています。
XGも韓国の音楽シーンで先に挨拶し、アーティストとして紹介され、活動させたかったんです。
今後もし「XG」がたくさん愛され、アジアを越えて全世界で舞台に立つ機会が与えられたとしても、韓国での舞台はいつも大切にしたいです。地道に韓国活動をする気持ちも持っています。私たちは製作からトレーニングの様々な過程において、多くの韓国人スタッフが参加しています。
単にK-POPシステムを通じて、日本人グループのアイドルを生み出すだけでは、韓国と日本の音楽的交流の先頭に立ったとは言えません。今後のどのような役割ができると思いますか?
K-POPはすでに全世界で愛されていますが、音楽だけでなく、K-POPシステムで全世界に音楽を知らせることも、K-POPの発展に寄与できると思っています。私たちだけの方式でK-POPをもっと知らせることができる部分があり、韓国での活動と日本での活動を通じて、ファン同士でも両国文化に対する理解をもっと高められたらと思います。
私たちがすぐ目に見える形ですごい仕事をやり遂げる、というわけではないが、音楽で自然に韓国と日本をつなぐ架け橋の役割をしたいです。
「XGALX」という会社は、韓国文化と情緒を理解しながら、丁寧に活動していくことが重要です。このような僕たちだけの強みを持って、これまでに無かったグループとして、愛されたいです。
また、従来のJ-POPアイドルは可愛く、ガーリッシュなコンセプトが主流でした。内需偏向の市場なので、音楽的カラーもトレンドを組み合わせて変化するよりは、従来のカラーを固守してきました。「XG」を通じて、グローバルを目指すアーティストを作りたかったんです。それは韓国の音楽シーンでも新しく見られるし、良い挑戦だと思いました。
また、多くの方々は「日本のアイドル」への実力に対する期待値が高くなかったが、XGはそのような偏見を破りたかった。メンバーを発掘する過程でも、とても驚きました。
最近は日本でもアーティスト志望者の中には、K-POPを好んで聴き、K-POPを見て夢を育てた子は多いです。それで実力もかなり上がって、直接、K-POPの事務所に挑戦することも増えています。
文化と政治は別物だと言いますが、両国の関係が「XGALX」や「XG」にどのような影響を与えるでしょうか
この5年、XGを準備しながら、関係が急速に悪化した時期もありました。とても不安も大きかったです。いつも不安で、綱渡りをしている感じもありました。それでもこのような理由で、誤解と憶測が生じないで欲しいです。メンバーにも練習生の時からよく教えていました、僕らのレーベルと、メンバーをありのまま、見て欲しいです。
今後の方向性について
いつかシングルではなく、アルバムを出し、米・ビルボードのメインアルバムチャートである「ビルボード200」に進入することを目標にしています。
全員日本人で構成されていても、音楽・パフォーマンス・魅力で韓国でも愛されたいという願いもあります。社名の「XGLAX」の両側にある「X」は、女性の染色体を意味し、真ん中にある「G」はガールを意味します。宇宙を意味するギャラクシーが合わさり、「かっこいい女性の星」という意味でもあります。
これからも「XGLAX」は音楽で、韓国と日本の文化的な架け橋の役割をしながら、同時に女性のエネルギーとメッセージを伝えられるレーベルになりたいと思います。